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アラタナ+Special Talk

アラタナ+株式会社スマイルズ遠山 正道様様

外に理由を求めない、自分事としてやる

今回のスペシャルトークでは、スープストックトーキョーなどを展開している株式会社スマイルズの遠山正道様をお迎えし、対談させて頂いた模様をご紹介いたします。
事業の話だけでなく、アートの話や、遠山様から見たEC・地方についてお話頂きました。

濵渦
今年の夏におもしろそうなことやってらっしゃいましたね。芸術祭にアーティストとして作品を出展ってすごいインパクトでした。
遠山様
越後妻有のアートイベントに出展した「新潟産ハートを射抜くお米のスープ300円」ですね。
私は20世紀は経済の時代、21世紀は文化・価値の時代と言っています。じゃあ、価値って何なのかって考えると見えないもの、積み上げてきたものだと思っています。現代アートは価値そのものしか無いと思っていて、そこに立ち入って行きたい。
立ち入って行きたいと思っているのと同時に、アートに対して物申したい気持ちもありました。価格、品質、サービスといったすべてが晒されていくビジネスの対極で、アートは小難しい言葉でそのあたりを煙に巻いてるんじゃないかなって感じている部分もありました。私たちは芸術祭にアーティストとして参加しましたが、安全衛生やスタッフのシフト管理など企業としてやるべきことは、ビジネスと同様に当たり前に実行しながら取り組んでいました。

ただ、こういう合理的な説明が難しい取り組み(企業がアーティストとして芸術祭に参加すること)は、実は社内でも賛否両論だったりもするんですよ。でも、こういうことこそ続けていきたい。5年後に今回の取り組みを振り返った時に、あの時の判断があったから今のスマイルズがあるんだって言えるようになりたいと思っています。

株式会社スマイルズ遠山 正道様

濵渦
スマイルズの社員の方に何人かお会いしたのですが、アツイ人が集まってるなって感じました。こういう人がいたらおもしろいだろうな、って思いましたね。どういうふうに会社風土を作っているんですか?
遠山様
私は機会が人を作ると思っています。
外部企業への出向とかそういう機会をもっと社員に提供したい。社内イベント等も機会の1つですね。個人的にはイベント事は準備から力をいれて盛々やるのではなくてサラッと気づかぬ間に実行したいと思っています。
その点、最近は社員が私に内緒で準備してくれることが多くて、イベント当日まで何も知らされない状態で参加して、最後に感動して泣いちゃいます。
濵渦
そういうイベントが自然に発生する会社って良いですね。
スマイルズの事業はネーミングにセンスを感じます。「100本のスプーン」とか「PASS THE BATON」とか…そういったものの源泉となっているものは何なんですか?
遠山様
言葉は大事にしてます。プロジェクトでもブランドでも、オリジナリティを持たせてニュアンスを伝えたくなる。言い換えてみたい気分と言いますか。
やはり、名前が決まるとギュッと形がはっきりしてきて、ステップが進みますね。
濵渦
名前から想像して積み立てていくんですね。
遠山様
そうなんです。楽しくて眠れなくなっちゃいます。名前しか決まっていなくて実態がまだ無いものでも楽しくなっちゃいます。
私はもともと絵の個展からスタートしているので、自分で思いつきたいし、表現したいですね。
それはネーミングみたいな言葉かもしれないし、空間かもしれないし。こういう自分から提案するスタイルが染みついているので、マーケティングとか苦手です(笑)
濵渦
マーケティング調査されないって話聞いたことあったんですが、本当だったんですね。
遠山様
しないですね。
私は外に理由求めると失敗すると思っているんです。
もちろん、マーケティングを上手くいくための手段として有効に使うのはいいことだと思います。でも、売上があがるのと利益がでるのは別の話ですよね。
例えば、「日本がTPP交渉に参加するからこうします」っていう人いるじゃないですか、それっておかしいと思うんです。じゃあ、TPPがなかったらやらないの?って思ってしまう。自分のやることに外の事とか関係ない。自分がやりたいからやる。
「上司が嫌だから仕事辞めます」みたいに外に理由を作る人は別の環境に行っても同じことをすると思いますね。外に理由を作ると外のことにイライラしたりとか、いつまでも引きずったりして自分の精神が浄化されないですよ。
完璧な環境なんて世の中には無いです。今ある環境でより良くしていくのが仕事だし、それが楽しいって思っています。

スマイルズでは色々な事業をやっていますが、個人のやりたいことがそれぞれのビジネスの根っこにあります。自分事の方が信用できますし、小さいビジネスなので規模も売上も小さいけど分母も小さいからやっていける。
自分のやりたいこと、自分事であれば分かりやすいですし、やる気も生まれますし、工夫もしたくなりますよね。
濵渦
自分がやりたいからやる、という自分事にする考え方いいですね。外に影響されても楽しくないですもんね。
では、遠山さんが考える「ネットショップこうなったらおもしろいのに」ということをお聞かせ頂けませんか?

濵渦伸次

遠山様
ネットショップですか…うーん、ネットショップ難しいですね…
でも、ネットショップのおかげで店舗が近くにない人にも商品を届けられるところはすごく嬉しいですね。私たちももっとネットショップに力を入れられればな、とは考えています。

スープストックトーキョーは「なんでこうなっちゃうの」という従来のファーストフードに対する反骨から生まれたのですが、ネットショップにもそういう要素ってたくさんあると思います。そういうごく普通のことを付加価値としてつけることで面白くなることもあるんじゃないかな。

私自身はニッチとかマニアってつもりはないんだけど、みんなもっと編集型になっていっていいと思います。
それぞれの人格・センスがあって、それにファンがつく…その人やネットショップの世界観を作っていって、もっと色々な人が入り込んで構成していく感覚が欲しいなって思います。
濵渦
僕も自分のショップにファンをつけるっていうのは今後のネットショップの軸になると思います。Amazonなど大手モール型のネットショップに埋もれずに中小ネットショップが支持されるためには遠山さんがおっしゃった感覚が大事になりそうです。
アラタナの事業に関連するお話をお聞きしたので、次はここ宮崎についてお聞きしたいです。遠山さんは世界中色んな所に行っていると思いますが、宮崎のことはどうお感じになられましたか?
遠山様
空気感の良さを感じますね。今日は綾町(宮崎県の町)にも行ってきたのですが、お会いした農家さんも明るかった。さすが宮崎、気候同様に人も暖かいなって感じです。
濵渦
ありがとうございます。
最後に是非教えていただきたいのですが、地方にも数多く足を運んでいらっしゃる遠山さんが考える地方がもっと元気になるためのアイディアってありますか?
遠山様
私は地方にはすごく可能性があるって思っています。
昔、那須高原で開催されたファッションショーが面白かった。アルパカやアヒル、羊がモデルのファッションショーなんです。
これは自然豊かな那須高原だからこそできたイベントで、六本木ヒルズでやろうと思っても出来ないですよね。
地方には空間、美味しいものといったその土地ならではの色んな要素があります。土地の安さだって大事な要素ですね。
もちろん無いものもあります。人が少ないとか、新しいことをやる人が少ないとか…でも、逆にそこさえ何とかしてしまえば東京ではできないような価値を生み出せるわけです。
最初は大変だと思いますけど、そういう意識を持ってやってもらいたいですね。

先ほど話したように、地方とか分母の小さいものに結構興味があるんです。スマイルズの事業でももっとこじんまりとしたモノをやってみたいですね。スープ屋はスープ屋でも二階にスタッフ夫婦が住んでるくらいのほっこり系のやつとか。個人レベルまでこじんまりさせてみたい。
濵渦
そういうのも素敵ですね。是非通ってみたいです。
本日はありがとうございました。
遠山 正道(とおやま まさみち)様プロフィール
  • 1962年東京都生まれ。
  • 慶應義塾大学商学部卒業後、85年三菱商事株式会社入社。
  • 2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。
  • 現在、「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」のほか、「giraffe(ジラフ)」、「PASS THE BATON(パスザバトン)」「100本のスプーン」を展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。
  • http://www.smiles.co.jp/