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アラタナ+Special Talk

アラタナ+株式会社リアル・フリート熊本浩志様

地元にノウハウを持ち帰るって素晴らしい。地域活性化のためにはそれが大事。

濵渦
熊本さんはブランド「アマダナ」を立ち上げられ、いまや東京のみならず世界でも、そのデザイン力とブランド戦略において、成功をおさめられていますよね。
まさに、ブランディングのプロフェッショナル!
僕、勝手に「同じ宮崎出身の経営者なんだよ」って周囲に自慢してるんですが(笑)

最近では宮崎市の経営戦略アドバイザーにもなられたとのことですが、今回は是非、「宮崎をどうアピールしていくか?」という点についてお聞きしたいなと。

宮崎って自然も豊かで人も良くて、美味しいものもいっぱいあるのに「ブランディングが下手だ」と言われることが多々あります。
どうしてそう言われてしまうのか、熊本さんのご意見をお聞かせ頂けませんか?
熊本さま
ちょっと辛口のように聞こえるかもしれませんが、宮崎の「中の人」がブランディングをしようとしているから当然だろうと思っています。

宮崎県民は、宮崎の良さを知り尽くしています。
何より、宮崎県民は宮崎のことが大好きですし、あまりにもこの環境が当たり前になりすぎてしまってて、本当の評価ができないんです。
ブランディングは「外の人」に魅力を伝えてなんぼですからね。

実は、宮崎の魅力を伝えたい場合、宮崎の「中の人」が魅力を語っちゃいけないんです。
「いかに、宮崎に関係のない人に宮崎の魅力を語ってもらうか?」ってところを意識しながら、情報をデザインするべきなんですね。

ひとつ例をあげてみます。
都市部で開催される物産展です。
当日のイベント会場では元気よく地元や物産をアピールし、たくさんの来場者も集め大盛況。
でも、それが終わったあとにはすぐ、他の地方の物産展や催し物が開催されます。
物産展に来られる方たちは「おいしいもの」に惹かれているのであって、「宮崎」に惹かれているわけではありません。
だから、いつの間にか「宮崎」のことは忘れてしまうんです。
果たして、このような一過性もので終わってしまうブランディングは、本来の目的を達成しているんでしょうか。

この場合、物産展のその時の売り上げも大事でしょうけど、むしろ他県とは違う方法で「宮崎」を強烈に印象付けることが「ブランディングのカギ」となります。

例えば、精一杯おもてなしをして、「この土地や料理は素晴らしい!」って言って貰えること。
自分の地方のことを良く評価されるのって、この上なく嬉しいですよね。
ブランディングにおいては「外の人から評価して貰う」ことが、一番大事だと思うんです。
濵渦
第三者からの評価ということですね。
それでいくと「中の人」というのは、せっかくの豊富な資源も上手く使いこなせてない場面が多いように感じています。

株式会社リアル・フリート熊本浩志様

宮崎の良さを伝えるのは、宮崎以外の人。

熊本さま
宮崎は特に、魅力的な資源が多すぎます(笑)
それを全部伝えたくて、結局何も伝わらないっていう典型的なパターンです。
水も情報も「流れる原理原則」みたいなものがあるので、それを見極めて「いつ」「どこに」「どの情報を」流すかっていう論理的な部分を、もう少し深く掘り下げて考えるべきだと思います。

そのとき念頭に置きたいのは、インターネットの普及による情報量の増大です。
10年前に比べて500倍以上に膨れ上がっているんです。
欲しい情報があっても、逆に情報が溢れすぎちゃってるから、何が良くて何が悪いのか、正しいのか間違ってるのかも判断しづらい。
たとえ欲しくない情報であっても、常に目に触れるところに広告や謳い文句なんかが連なっているんです。
こういう状況下では、逆にシンプルで分かりやすい情報を「狭いところに深く刺す」って方が効率的だし伝わりやすいんですよね。
伝わりやすいから、情報の拡散能力も強まるし。

ものの良さを伝えるためには、最終的にはどう伝えたいか?というビジョンをハッキリさせるのと同時に、そこに持っていくまでのプロセスをデザインすることがとっても重要です。
そのためには、最初からあれもこれも語るより、伝えるべき情報とターゲットを徹底的にしぼり込むことが大切なんです。
そして、それが出来るのが客観的かつ冷静にそのことを分析できる「外からの目線」なわけで。
またそうあるべきだと考えています。

外の人といっても、何も県外出身者でなくてもいいんです。
僕も宮崎を離れて20年になりますから、宮崎に住んでいない時期の方が長くなりました。
その間いろんな国の文化に触れて、地元宮崎を客観視できるようにもなりました。
そして外での経験値が増えたからこそ、宮崎が更に大好きになりました。

食べ物は美味しいし人はいいし。
何もないって言うけど、何でもあるし。

東京みたいに、大きな娯楽施設やショッピング街は無いけど、海や山はすぐそこにある。
だからこそサーフィンや、魚釣りや、山登りができたりするんですよね。
そういう遊び方、当然だけど都心部じゃ味わえないじゃないですか。
できたとしても、人が多いし、高いし(笑)

僕たち経営者だけじゃなくても、日本で、また世界で活躍されてる宮崎人っていっぱいいます。
そんな、世界の最前線で活躍している人たちが宮崎に帰ってきて、ノウハウとか、ものの価値なんてものをいっぱい拡散していく。シェアしていく。

そういうのも全然アリだと思います。
むしろ大事な財産になるんじゃないかと。

濵渦伸次、熊本浩志様

外で戦える人間を育てるためにはどうしたらいいか、を考える。

濵渦
僕も去年までは東京で暮らしてました。
東京は、新しい出会いが常にある環境です。
今までは恐れ多いと思ってたような方とも、いざお会いしてコミュニケーションを取ってみると、腹を割って話せるような縁になることもあって(笑)
実際、そういう出会いの中でたくさんのビジネスチャンスが生まれましたし、東京だったからこそ学べたこともたくさんありました。

宮崎をアツくするための考え方としては、県外への人材流出をどう減らすか、ではないということですね。
熊本さま
その通りですね。
むしろこれからは「外向きのマインド」を持った人間を輩出すべきだと僕は考えています。

「地方」といえば、これまでは都市部の大企業を誘致して、地元雇用を確保しようとする動きが盛んでした。
しかしここ数年、各産業において一気に国際水平分業化が加速しています。
つまり宮崎と条件比較される相手は、隣の鹿児島でも沖縄でもなく、アジアの国々を含む「地方」に変わったということです。
一時的に宮崎に誘致できたとしても、またすぐどこかに行ってしまうという可能性が、今まで以上に高くなっているということなんです。
だから、地方は自ら産業を作れなきゃいけない。

今はインターネットさえあれば、少ない資源でも最低限のコストで起業できる時代です。
だから若い子がどんどん外に出て行けるように、外の環境で花開けるように、地方は「人材」にもっと投資した方がいいと思います。

これも宮崎に限らずですが、地方になると、個性的な子がいたときに「アナタちょっとヘンじゃない?」と言ってみたりしますよね。
そのことで、その子のことを傷つけちゃったり、みんなで仲間はずれにしちゃったり。
個性的な子たちって、人とは違うものの見方ができるっていう才能を持ってる場合も多いんですけど、それゆえに、地方はそれを閉じ込めようとする傾向にあると思うんです。

でも、これが沢山の人間が行き交う都会になると、わりと「ヘンでもいいじゃん、それも個性だ」「答えはひとつじゃない」って考え方になるんですよ。
人口の母数が左右していることも多分にありますが、そういう個性的な子たちこそ、個性的な子同士で仲良くなったりします。
「あれ?お前も同じこと考えてたの?」「やっぱり?」という具合に。
で、そういう子たちのパワーとかアイディアとかが集まって、面白いプロダクトができるんですよね。

だから、そういうパワーを閉じ込めちゃうよりも、その才能を引き出してあげる。
県外に輩出して、将来的には得た知識やノウハウを地元に持ち帰って貰う。
これって素晴らしいサイクルだなぁと思うんです。

「宮崎に留まらせるにはどうしたらいいか」ってことを考えるよりもむしろ、「外で戦える人間を育てるためにはどうしたらいいか」ってことに注力したほうがいいと思ってます。
つまりこれ、リスクが高まってるんじゃなくて、チャンスがデカくなってるんだってことを行政の人にも知ってほしいなぁ(笑)
濵渦
僕らアラタナは、「宮崎に1000人の雇用をつくる」という経営理念をかかげるベンチャー企業です。
アラタナの大好きな地元宮崎がアツくなればと考えたからこその目標なんですが、今回のお話を受けて、優秀な人材が、国内外から宮崎に集まってくるためのヒントが見えてきました。
熊本さま
僕らもいい例だと思います。
東京のアマダナと宮崎のアラタナ。

例えばここから一緒に新しいプロジェクトを立ち上げてみたりとか。
要は都会と宮崎を繋ぐわけです。
で、それに携わる人間がいっぱい出てきて。
そこにまた、新しい雇用が生まれて。

地方活性化のためのブランディングを考える場合は、もっと柔軟に、多角的に物事の本質を捉えることが重要なんだと思います。
熊本 浩志(くまもと ひろし)様プロフィール
  • 株式会社リアル・フリート 創業者・代表取締役社長
  • <略歴>
  • 1975年宮崎市生まれ
  • 電気店の長男として育ち、自他共に認める家電好き。
  • 大学卒業後に東芝の家電部門を経て、2002年に27歳で独立。
  • 翌2003年に家電ブラド「amadana」を立ち上げる。
  • ※掲載情報は2013年12月のものとなります。
  • http://realfleet.co.jp/